有害藻類異常増殖(HAB)

有害藻類異常増殖(HAB)とは?

有害藻類異常増殖(Harmful Algal Bloom)とは、海洋生物にとって有害な物質を生成する特定の植物プランクトンが急激に増殖し、養殖魚や天然魚介類の大量死など、大きな漁業被害をもたらす環境問題です。 CEARACでは、次の2つの現象をHABと呼んでいます。 
・植物プランクトンの増殖によって海の色が変化する「赤潮」
・有害植物プランクトンを体内に取り組むことでその生物が毒化してしまう「貝毒」
植物プランクトンは、陸上の植物と同様、光合成を行うために太陽光と窒素やリンといった栄養(栄養塩)が必要です。 梅雨や台風の時期には、大量の栄養塩を含んだ雨水が河川から海域に流れ込みます。その後、光や水温などの条件が整ったときに、植物プランクトンが増殖します。 魚のえさとなる植物プランクトンの増殖であれば問題ないのですが、 有害な植物プランクトンが増殖すると大きな被害を及ぼします。
地球温暖化の影響で、世界各地で海水温も上昇してきています。それにより、もともと南方に生息していたものがNOWPAP海域でも観察されるようになり、 新たなHAB原因種になるなど、これまでと異なる種による被害も報告され始めています。 このように、各国で発生したHABの情報を共有していくことは、それぞれの国における今後の対策にとって非常に重要なものであり、CEARACとしても引き続き情報の収集、共有を進めていきます。

CEARACの活動

CEARACではHABに関する様々な情報を発信するためのポータルサイトとして「HAB統合ウェブサイト」を作成しました。 HAB統合ウェブサイトでは、NOWPAP各国におけるHABの発生情報のほか、NOWPAP海域において注目すべきHAB原因種としてコクロディニウム・ポリクリコイデスについて詳しく紹介した「コクロディニウムホームページ」、NOWPAP各国の研究者が執筆したHABに関する論文のデータベース「HAB文献データベース」などを公開しています。 CEARACで作成したHABが発生した際の被害低減策などを取りまとめた「NOWPAP地域における有害藻類対策事例集」などの報告書もこちらから入手可能です。

 

・ NOWPAP地域の有害藻類異常増殖 (HABs) に関する統合報告書(2011)
・ NOWPAP地域の有害藻類異常増殖 (HAB) 対策事例集(2007)
・ NOWPAP地域の有害藻類異常増殖(HAB)に関する国別報告書 (2004-2005)
・ 有害藻類異常増殖 (HABs) に関する国別報告書概要版 (2004-2005)

 

 

1970年代から1990年代にかけて、特定の有害藻類の異常発生による赤潮や貝毒などが頻発し、漁業や養殖業に大きな影響を与えました。近年は状況が改善しつつありますが、有害藻類は依然として発生し、深刻な被害を及ぼしています。 このウェブサイトでは、HABの発生や被害等の情報を発信しています。

HABに関する文献やデータベース、NOWPAP地域で問題となっているHAB種など様々な情報を紹介しています。

コクロディニウム・ポリクリコイデスは、顕微鏡を使わなければ見えないくらい小さいプランクトンですが、赤潮の原因種としてNOWPAP地域で大きな問題となっています。 コクロディニウムが引き起こす問題に取り組むため日本、中国、韓国、ロシアの専門家が連携して調査研究を行い、このウェブサイトで情報を共有・発信しています。

ウェブサイトではコクロディニウムの生物学的・生態学的特徴や赤潮、対策などに関する情報を提供しています。

HABリファレンスデータベースでは、NOWPAP地域の有害藻類異常増殖 (HAB) に興味・関心がある研究者や政府関係者、一般市民に対して役立つ情報・資料等を紹介しています。このデータベースを通じてNOWPAP地域のHAB問題への理解が深まることを期待しています。

いくつかの方法でデータベースを検索することができます。 検索画面で調べたい項目を指定してください。

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